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ハート・ロッカー THE HURT LOCKER / 2008 / USA

ハート・ロッカー

STORY

第82回アカデミー賞 最多6部門受賞! 2004年夏。イラク、バグダッド郊外。アメリカ軍の爆発物処理班は、死と隣り合わせの前線の中でも最も死を身近に感じながら爆弾の処理を行うスペシャリストたち。ある日も爆弾の処理を行い、退避しようとした瞬間に突如、爆弾が爆破。一人が殉職してしまう。新しい中隊のリーダーに就任したウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)は、基本的な安全対策も行なわず、まるで死に対する恐れが全くないかのように振舞う。補佐に付くJ.T.サンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)とオーウェン・エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)は、いつ死ぬかもしれない緊張感、特に一瞬の判断のミスが死に直結する爆発物処理の任務のなかで、徐々にジェームズへの不安を募らせていく。彼は、虚勢を張る只の命知らずなのか、それとも勇敢なプロフェッショナルなのか‥。そんな男たちの想いとは無関係に激しい戦闘行為が繰り返される日常は続き、爆弾処理の毎日が過ぎていく―。ブラボー中隊、任務明けまで、あと38日。
from:itunes

During the Iraq War, a Sergeant recently assigned to an army bomb squad is put at odds with his squad mates due to his maverick way of handling his work.

監督
Kathryn Bigelow
出演
Jeremy Renner, Anthony Mackie, Brian Geraghty, Guy Pearce

IMDb Rating:

7.6

REVIEW from 「文芸ジャンキーパラダイス」

イラク駐留米軍の爆発物処理班に身を置き、極度の緊張感から“戦争中毒”になってしまった兵士を描いてアカデミー作品賞を受賞。イラクに派遣された米兵の戦死理由は半分以上が仕掛け爆弾。そして爆発物処理班の死亡率は他の兵士よりもはるかに高い。主人公ジェームズは873個の爆弾を処理してきた男。生死の境目に身を晒すスリルの虜になっているのか、帰還してもすぐに前線に戻って行く。そのような一種の狂気は描かれているが、この映画は僕が求めている内容ではなかった。イラク人の心の声が聞こえてこないんだ。砂漠地帯の戦闘ではシューティング・ゲームのようにバタバタと武装勢力が射殺される。イラク人の死があまりに軽い。“武装勢力”とはいうけれど、元々は普通の市民。なぜ彼らが銃をとって米兵を攻撃してくるのか、そこを掘り下げる事は皆無。なんというか、イラクから米軍を追い出すために銃をとった人間と、爆弾テロで市民を殺して政権を揺さぶるマッドな原理主義者がごっちゃになっている。
アカデミー協会が、『アバター』ではなく本作にオスカーを与えたのはなぜか。アバターの米軍はモロに侵略者だったけれど、この映画では解放軍だった…それもあるけど、もっと切実なものを感じた。ハリウッドの映画人はリベラル派が多く、イラク戦争にも否定的。でも、悪いのはホワイトハウスであって、中東で頑張っている米軍の若者じゃあない。米国人として若い兵士たちにエールを送りたいけど、住民虐殺や捕虜虐待を行う米兵まで認める訳にはいかない。そんな時に登場したのがこの映画。爆発物処理班はイラク人を直接攻撃する部隊じゃないし、米兵だけじゃなく市民の命も爆弾テロから救っている。これなら反イラク戦争の立場でも、心から米兵たちを応援できる。アバターに賞を与えても喜ぶのは関係者のみだけど、本作ならPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しむ帰還兵など、すべての米兵を励ますことができる、そんな風に考えて作品賞&監督賞がこの映画にいったんじゃないかな。米兵にしてみりゃ、“俺たちはリアルに死んでるのにアカデミー協会は仮想現実のアバターを選ぶのか”ってなるだろうし。
※知人いわく「この映画はイラク戦争だけをテーマにしたわけじゃない。イラク戦争は最近起こった戦争として作品の舞台とするのにふさわしかっただけで、冒頭に“戦争は麻薬である”とあるように、戦場で戦い続けていく内に戦争を“玩具”として考えるようになった“兵士の心情”がテーマ」。そういう視点で見れば、すぐれた心理劇だと思う。僕は米国人にイラク戦争をそろそろ正面から掘り下げて欲しいという強烈な思いがあるので、一歩距離を置いて観る事が難しくなっているみたい(汗)。
※アカデミー賞(2010)作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響効果賞、録音賞/NY映画批評家協会賞(2009)作品賞、監督賞/LA映画批評家協会賞(2009)作品賞、監督賞/全米映画批評家協会賞(2010)作品賞、監督賞、主演男優賞
from : 史上最強の超名作洋画ベスト1000
*本レビューは、「文芸ジャンキーパラダイス」管理人様の許可を得て転載しております。

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